2005年05月07日

宝塚線脱線事故(2):事故原因の様々な可能性。

宝塚線事故の「初動報道」について感じた事の第2弾です。

●尼崎脱線事故:空気バネ、異常振幅 脱線を誘発の可能性(MSN-Mainichi INTERACTIVE:5月5日付)
●脱線時、アクセル戻さず=非常ブレーキと併用−運転士の極限状態示す・事故調(時事通信:5月6日付)

宝塚線の事故のメカニズムについて、少しずつ明らかになってきました。詳細は警察や専門家の調査でさらに後日明らかになってくるでしょう。
そう、後日…。これだけ大規模の事故、そもそも発生から1日2日で事故の過程や原因なんて判るハズがないのです。
ところが誰が作ったシナリオなのか、「過去に処分を受けたことのある経験の浅い運転士が、伊丹駅でのオーバーランによる遅れを回復しようと急ぐあまりオーバースピードで事故現場に突っ込み、技術的・心理的な未熟さが事故を招いた」という筋書きに沿った報道が数多く流されました。それも救出作業すら終わっていないというのに。
そしてその結果、亡くなった高見運転士の名誉は必要以上に大きく傷つけられてしまいました(それについては後日改めて書きます)。こんなに早い「犯人探し」が必要だったのでしょうか?もっと慎重で良かったのではないでしょうか?

ここで再びライブドアのPJニュース記事。記事の精度や中立性はイマイチですが、新鮮な視点を提供してくれるという意味では興味深く、時々チェックしています。

●脱線事故の原因、別な解釈(ライブドアPJニュース:5月1日付)

この記事でPJ和田牧夫氏は事故原因として「電車のブレーキ系統のトラブル」の可能性を指摘しています。そして伊丹駅のオーバーランもその前兆と解釈できるのに、なぜそういう可能性を無視してきたのか、と。
ワタシもこれには同感で、素人考えでもブレーキ以外に、

●台車自体のトラブル
→台車そのものが壊れていればブレーキが甘くなる可能性がある。
●空気系統のトラブル
→事故車である207系のブレーキは電気・空気圧の2系統。
●車体を支えるエアサスのトラブル
→十数トンの車体重量を支えるエアサスに異常があれば車体は傾き、走行中であれば制限速度を守っていたとしても転覆はあり得るでしょう。冒頭で引用したニュースもそれで、その前日の5月4日のテレビ番組でも専門家が指摘しています。

これぐらいは簡単に挙げられるのです。事故現場の検証結果や電車に搭載されていた運転記録のデータを必要としなくとも。

このうちのどれなのか、あるいは全く別の原因なのか。それは専門家が、現場検証の結果や証拠品を仔細に調査して、これから長い時間をかけて考えなければ判らないのです。それをマスコミがどうして原因を運転士の資質・心理面に求め、糾弾することができたのでしょうか?現場検証に参加もせずに専門家よりも的確な判断を下せるスーパーマンが報道側にいたとでも言うのでしょうか?

事故をきっかけに明らかになったJR西日本の勤務実態は確かに問題です。社員を心理的に追い詰めるJR西日本の企業体質は厳しく糾されなければならない。責任の所在は事実が明らかになり次第、明確にしていくことが再発防止に重要でしょう。
しかしながら、今回のような先走った観測をマスコミが流すことで犠牲者の一人である(とワタシは思う)高見運転士の名誉は大きく傷つけられ、その家族もおそらく必要以上に辛い思いを強いられているのではないでしょうか。

専門家でも時間がかかる事故原因の究明なのに、
テレビ屋・新聞屋風情がたった数日でできるわけがないんです。
そして、視聴者・読者もそれに疑問を持たなければッ!
posted by 佐々木大悟 at 00:03| Comment(2) | TrackBack(2) | 宝塚線脱線事故 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして、TBしてくださったkazuyaさんのブログから飛んできました。

JR西日本の勤務実態は確かに問題です。社員を心理的に追い詰めるJR西日本の企業体質は厳しく糾されなければならない。責任の所在は事実が明らかになり次第、明確にしていくことが再発防止に重要でしょう。
しかしながら、今回のような先走った観測をマスコミが流すことで犠牲者の一人である(とワタシは思う)高見運転士の名誉は大きく傷つけられ、その家族もおそらく必要以上に辛い思いを強いられているのではないでしょうか。

おっしゃるとおりです。ニュースを見ていたとき、高見運転士の非難の気持ちはなく、むしろ安否が心配でした。亡くなられたと聞いた時は本当残念でした。ただでさえ亡くなっているのに、名誉毀損のダブルパンチってどうなの?
ブログの中には非常にあまりにも中傷的な内容のものまであり、いくつか注意しました。
Posted by MARGARET at 2005年05月07日 11:38
>MARGARETさん
コメントありがとうございます。
多忙と体調不良でレスが遅れて恐縮です。

事故列車のマスコンを握っていたとはいえ、事故当初の一連の報道は見ていて高見運転士が気の毒でした。何は置いても本来はその安否に関心を持つべきなのに、生い立ちから顔写真まで「暴走運転士」という汚名をつけて事実上晒されていたわけですから。色々判ってきた現段階では、確かに事故に関わる何らかの過失があったと言えるのでしょうが、それにしても故意に事故を起こしたわけではありません。
高見運転士にも親兄弟がいるって事が想像できれば、簡単に彼の名誉を傷つける報道はできないと思うのですが…。
Posted by 佐々木大悟 at 2005年05月14日 01:29
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